新しい年を迎えた今日くらい、ゆっくり行きませんか? スロー 高い空に広がる数え切れないほどの星。 その下を肩を並べ私たちは歩いていた。 「公績大丈夫?相当飲んでたけど」 「あれくらいどうってことないっつーの」 先ほどまで呂蒙の家で酒をご馳走になっていたのだ。 そこには陸遜、甘寧も居て。 目を離した隙に凌統は甘寧と飲み比べを始めていたりで。 「そのわりに足元覚束無いみたいけど?」 口は回るが足はやや千鳥足。 なんでもない顔して杯を重ねた凌統だが、いつもより間違いなく飲んでいたのは確かで。 「目の錯覚」 そう言ったそばから怪しい足取り。 言外の思いを溜息に籠めた。 凌統は僅かに苦笑を浮かべた。 「そういうだって飲んでただろ?」 「アレくらいは許容範囲」 「…ザルか」 「呆れた?」 「いや、頼もしいと思ってね」 「有難う」 凌統が余り整えられていない道に足を取られ、グラリと体勢を崩した。 出した手を凌統は首を横に振って制した。 「ホントに送ってもらわなくて大丈夫なの?」 「大丈夫大丈夫。賊が出たって10人や20人、伸してやるよ」 「20人も居たら嫌よ、疲れる」 凌統は少し驚いたような表情を浮かべた。 「いつもは仕事熱心の軍師殿がどうした?」 「こんな日くらい、新しい年を迎えた今日くらい休みたいの」 「まあ20人出ようが一人何とかしてやるよ、今日は特別に」 「いつもその意気で張り切ってくれると有難いんだけどね、凌中郎将」 「いつもそれなりにはやってないか、軍師殿?」 「半分以上は私がやってる気がする」 「そんなことはない」 「今度数える?」 「受けてたってやる」 凌統は自信満々に口元をにっと上げた。 自分の手に息を吹きかける。 不意にその手を凌統の手が包み込んだ。 今までふざけて手を取るなんてことはあったけど。 こんなこと滅多にあることではない。 不意の出来事に不覚にも上気する。 「…公績やっぱり酔ってるでしょ」 「だから酔ってないっつーの」 「はいはい」 そう言えば、凌統の溜息が聞こえた。 「しかし冷たいな、急ぐか」 「…たまにはゆっくり行かない?」 凌統は少し考え込んで。 「…仕方ないな」 少し照れくさそうに視線を逸らし、そして手を握りなおした。 しっかりと繋がれた手は温かくて。 その手をそっと握り返した。 たまにはこんな日があっても悪くない、と思う。 |
凌統さんと副官でした。
ヒロインちゃんは"冬銀河"などと同じ設定だったりします。
今年も南條と路地裏を宜しく御願いいたしますv
18.01.01
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南條さんから頂きました!
素敵凌統さんですねぇ。
ほのぼのしててちょっと甘くて・・・v
お正月から良い夢を見させて頂きましたvv
こちらこそ、よろしくお願いします!